脊髄損傷とは?
脊髄損傷(spinal cord injury)とは、オートバイや自転車事故などの交通事故、高所からの落下、転倒などが原因で脊髄に大きな外力がかかることにより生じます。また、スポーツ時の激しい衝撃でも生じることがあります。近年では2009年、プロ野球阪神タイガースの人気選手であった赤星憲広外野手が試合中ダイビングキャッチでの捕球を試みた際に重度の中心性脊髄損傷を受傷し、同年現役引退を余儀なくされました。脊髄損傷は完全型と不完全型に分けられます。完全型では脊髄が横断的に離断し神経伝達が完全に絶たれるため、動かない・感じないという麻痺状態になります。不完全型は脊髄の一部が損傷・圧迫を受けた状態ですので一部機能は残存しています。
脊髄損傷はED(勃起不全)を高い確率で併発し、その確率は報告にもよりますが54~94%と言われています。
勃起の中枢
勃起の中枢は以下の二か所に存在しています。
- 脳視床下部に存在する勃起中枢→情動による勃起(性的勃起)に関与
- 第11胸髄-第2腰髄、第2-4仙髄に存在する勃起中枢→ 性器への刺激などによる勃起(反射性勃起)に関与
第11胸髄-第2腰髄、第2-4仙髄より高い位置での脊髄損傷は、 脳視床下部の勃起中枢からの指令が絶たれることで性的勃起が障害されEDを発症しますが、第11胸髄-第2腰髄、第2-4仙髄は保たれているため、 反射性勃起は健在です。
一方、第11胸髄-第2腰髄、第2-4仙髄での損傷は、性的勃起・反射性勃起共に障害されるので ED症状が強く出ます。
脊髄損傷の方でもED治療薬は使用できます
EDの原因が脊髄損傷であっても、ED治療薬であるバイアグラ、レビトラ、シアリスは服用可能であり、有効な場合があります。しかし、脊髄損傷の程度によってはED治療薬が無効であったり、効果が弱い可能性があります。脊髄損傷が原因のEDに対しては高容量のED治療薬が望ましいと考えられます。
実はレビトラでもっとも高容量の20mgは、脊髄損傷や重度糖尿病などが原因の難治性EDに使用する目的で「糖尿病を有する勃起不全患者を対象とした本剤10mgおよび20mgのプラセボとの臨床比較試験」、「脊髄損傷を有する勃起不全患者を対象とした本剤の可変用量による一般臨床試験」という2つの臨床試験が実施され、有効性と安全性が確認されたため国内認可が降りたという経緯があります。脊髄損傷に伴うEDに対して、レビトラ20mgの服用はもっとも良い選択肢であると考えられます。高容量のED治療薬服用をためらう患者さんもいらっしゃるかと思いますが、レビトラ20mgの副作用の頻度は、レビトラ10mgと比べて明らかな増加が見られないことが研究の結果わかっています。ご安心下さい。