アロビックスは学会で推奨されている薬剤です
アロビックス(塩化カルプロニウム)は日本皮膚科学会が推奨するAGA(男性型脱毛症)治療のガイドラインで推奨されている薬剤で推奨度C1の薬剤です。塩化カルプロニウムは頭皮の血管を拡張させて血流を改善させ、毛母細胞を活性化させ発毛を促します。
このようにアロビックスはAGA治療に用いられる薬剤ですが、尋常性白斑という皮膚の病気の治療にも使用されます。
尋常性白斑とは?
色素細胞(メラノサイト)は皮膚の基底層に分布し、メラニン色素を産生することで紫外線から皮膚を守る役割を果たしています。尋常性白斑はこの色素細胞が遺伝や環境要因、自己免疫性疾患などの原因で減少・消失する後天性の病気です。メラニン色素が減少・消失するため、皮膚の色が白く抜けてしまいます。日本では「シロナマズ」とも呼ばれ、我が国における発生率は1.68%で比較的多い疾患です。著名人では故マイケル・ジャクソンがこの病気にかかっていたことが彼の死後に判明しました。彼の肌の色が白くなっていったのは整形手術ではなくこの病気の影響でした。ちなみにですが、「尋常性」とは「特別ではない・普通の」という意味です。
尋常性白斑の症状
- 尋常性白斑は3つのタイプに分けられます。
- 分節型…体の左右どちらかのみに白斑を生じるタイプ
- 汎発型(はんぱつ)型…体の左右両側に白斑を生じるタイプ
- 限局型…一部分の皮膚にのみ白斑を生じるタイプ
後天性なので、生後しばらくは症状が出ませんが、数年~数十年後に白斑を生じます。白斑の大きさは小さいものもあったり大きいものもあったり、また拡大したりとさまざまです。基本的には無症状ですが、炎症性の場合はかゆみを伴う場合があります。
尋常性白斑治療にアロビックスが用いられます
尋常性白斑の治療は主に外用療法と紫外線療法です。
- 外用療法
ステロイド、ビタミンD3、タクロリムス、アロビックスなどが用いられます。アロビックスは局所血管拡張作用と皮膚浸透性、発毛促進作用により、機能低下状態の毛のうの活性を高め、脱毛や白斑を改善するお薬です。アロビックスを尋常性白斑の治療に用いる場合、1日3~4回適量を患部に塗布することとなっています。
- 紫外線療法
PUVA療法と呼ばれる紫外線吸収剤であるソラレンと、長波長紫外線(UVA)の照射を併用する光化学療法が有名ですが、現在はソラレンを用いず狭い周波数の紫外線だけを照射するナローバンドUVB療法と呼ばれる治療法の効果が高いことがわかっています。
アロビックスは軽症AGA患者に有効です
尋常性白斑などの皮膚疾患に用いられるアロビックスですが、AGAに対しても効果を発揮します。
日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)では男性で軽症の方には 推奨度C1の育毛剤、または5%ミノキシジルand/orフィナステリド1年間使用し、それでも発毛がない場合は植毛術and/orかつら、となっています。軽症のAGA患者にはアロビックスとプロペシア(フィナステリド)の併用が効果的です。ただし進行したAGAに対しては推奨度Aのミノキシジルのほうがよいでしょう。
ユナイトクリニックで処方するアロビックス(塩化カルプロニウム)は佐藤製薬株式会社のアロビックス(塩化カルプロニウム)です。1本約15~30日分です。3 ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もありますが、効果が確認できるまで通常6 ヵ月の連日投与が必要です。また、効果を持続させるためには継続的に服用することが重要です。